有圧吸気(有圧換気扇利用)
有圧換気扇ってなに?をサクッと👇
役割としくみ
- 「有圧」=静圧を持って風を押せる/吸えるという意味。
普通のプロペラ換気扇(ほぼ無圧=ダクトやフィルタが苦手)と違い、ダクト・ルーバー・フィルタなどの抵抗があっても所定の風量を確保できます。
- 形は「羽根+モーター」を筒状ケーシングに収めた軸流ファン(プロペラ型)が主流。
機種によっては防雨フード、シャッター、フィルタ、消音材を一体化できます。
- 風量は数千~数万 m³/h、静圧はおおむね 50–300 Paのゾーンが得意。
速度切替(多段)やインバータで風量調整できる機種もあります。
どんな場所で使う?
- 工場・倉庫:熱気・粉じん・溶接ヒュームの排気、外気の大量取り入れ
- 厨房・食品工場:レンジフードやルーバー越しの排気、衛生エリアの陰圧維持
- 塗装ブース/作業室:フィルタ越しの定風量排気
- 温室・畜舎・きのこ栽培室:CO₂制御と湿熱排出(フィルタ+ルーバーを通しても風量が落ちにくい)
- 駐車場・体育館・機械室:大風量で一気に空気を入替え
有圧換気扇・シロッコファン・一般プロペラの違い(ざっくり)
種類 | 得意技 | 苦手 | 典型用途 |
---|---|---|---|
一般プロペラ(無圧) | 低コスト・大風量 | ダクトやフィルタで風量激減 | 住宅の壁付け換気 |
有圧換気扇(軸流) | ダクト・ルーバー越しでも風量確保、据付簡単 | 高静圧は不得手(>300 Pa は苦しい) | 工場・厨房・栽培室の出入口や外壁 |
シロッコ(遠心) | 高静圧に強い・低騒音 | 大風量は苦手、据付はダクト前提 | 長いダクト配管、消音重視の室内換気 |
選定のコツ(最短版)
- 必要風量 Q:部屋容積 × 目標換気回数(ACH)
例)144 m³ で 4 ACH ⇒ 約 600 m³/h
- 静圧の見積り:
ルーバー(20–40 Pa)+フィルタ(30–80 Pa)+ダクト曲がり…合計 100–200 Pa を目安に。
- ファン曲線で余裕をもって選ぶ:
目標点(Q, Pa)より1サイズ上にして、段速やインバータで絞ると静かで安定。
- 給気側も忘れずに:排気だけ強いと負圧が高まり過ぎます。大きめの給気口+フィルタを用意。
よくある注意点
- 騒音:外壁直付けは外部騒音が出やすい→消音フードやダクトで距離をとる。
- 逆流・虫塵:重力シャッター/電動シャッター+防虫網/給気フィルタをセットで。
- 調湿とのバランス:換気を上げると湿度が下がる(または加湿量が増える)。加湿器と連動させる。
- メンテ:プレフィルタを月1清掃、羽根とルーバーの油・胞子汚れを定期洗浄。
例:144m³栽培室の場合(参考)
- 9×6.4×2.5 m(144 m³)で 4 ACH ≈ 600 m³/h、ピン誘導時に6 ACH ≈ 900 m³/hが目安。
- 代表機の例:三菱 有圧換気扇 40 cm クラス(最大 3,000–5,800 m³/h、4段切替)を間欠運転または中弱速で使うと扱いやすい。
- 給気はフィルタ付ガラリを広く(合計有効面積 0.3–0.5 m²)取り、CO₂センサーで段速を切替えると安定します。
「具体的な型番で選びたい」「ダクト長やルーバー品番が決まっている」などあれば、必要風量‐静圧点を出して最適機を絞り込みます。