キクラゲ栽培用加湿システム
AKIMist® E 4-N ×1 (霧のいけうち) を使うと栽培室は水浸しにならずシン・キクラゲに必要な湿度を確保する事が出来るか?
結論
「乾いた霧(Dry Fog)」なので水浸しにはなりにくく、135 m³・シン・キクラゲ室の湿度 88-92 % を十分維持できる
評価項目 | AKIMist® “E” 4-N の仕様 | 栽培室への影響 | 備考 |
霧粒径 | 平均 7.5 µm(10 µm未満)—Dry Fog 定義値 | 物体に当たっても破裂せず転がり落ちる ⇒ 表面を濡らさない | “non-wetting fog” として公式に謳われる特徴 |
加湿能力 | 0.3 MPa時 9.6 L h⁻¹ ≒ 9.6 kg h⁻¹ | 必要量 7-8 kg h⁻¹(換気 600 m³ h⁻¹, 25 ℃, RH 90 %)を 1 台で上回る → 余裕有り | 出力はノズル交換または間欠運転で 2.4-13.2 L h⁻¹ 調整可能 |
散布方法 | 圧縮空気 + 水を リング管に送り、ノズル 4 か所からドライフォグ | φ20 A SUS パイプに 4-6 mおきにノズル ⇒ 霧が 3-4 m 飛散し 室全体を均一加湿 | Techmark が「キノコハウスに最適、濡れずに高湿維持」と紹介 |
水浸しリスク | ・粒径が小さいため自然対流中に 完全蒸発・霧が壁やラックに当たると滑り落ちるので結露になりにくい | 過剰運転で RH100 % を長時間超えると結露は起きる ⇒ 湿度センサー+電磁弁で PID 制御が推奨 | 霧が直接菌床に当たらないようノズルを 2 m高に設置 |
必要付帯機材 | オイルフリーコンプレッサ 0.75 kW、冷凍式エアドライヤ、フィルタレギュレータ、リング配管(SUS20A)、給水ストレーナ | これらを加えても初期コスト ≈ 67 万円(前回答算出) | 加湿能力に余裕があるため 1 台構成で済み、運転費も圧縮空気 0.75 kW |
実運用で“水浸し”を防ぐチェックポイント
チェック | 推奨設定 |
湿度フィードバック | 室中央 1.2 m 高さに RH センサー(精度 ±2 %)を置き、RH 90 % 下限で ON / 92 % 上限で OFF の電磁弁制御 コントローラで実現可 |
ノズル向き | 45° 下吹きでラック列中心〜上段の空気層を狙う。菌床へ直接当てない |
霧化圧力 | 0.3 MPa が推奨値;0.25 MPaまで下げれば出力は約 8 kg h⁻¹ になり、過湿を避けやすい |
換気連動 | VAMD80AY など換気ファンを >2 ACH で回す時は加湿器も 5 % ほど出力を上げる(PID で自動追従) |
保守 | 月 1 回ノズルを 1 % 酢酸で 20 分浸漬洗浄 → 霧径維持・滴下防止 |
まとめ
- Dry Fog の 7.5 µm 霧はほぼ蒸発し切るため、ラックや床が水浸しになる心配は通常不要。
- 135 m³ の室で要求される 7-8 kg h⁻¹ を 1 台で賄える能力があり、湿度 88-92 % を安定保持。
- 結露を避ける鍵は RH センサー+電磁弁/圧力制御での適正オンオフ。 正しい配置と制御を行えば、AKIMist® E 4-N は白いキクラゲ栽培に適した「濡れずに高湿」を実現できます。
この事で建屋、床の排水処理の簡素化と日常メンテナンスが大幅に軽減され木製栽培ラック、エアコン、排気装置の寿命が大幅に延びると判断。
周辺機材と費用
AKIMist® “E” 4-N (4ノズル) を白いキクラゲ室に導入するときに揃える主な周辺機材と実勢価格
# | 機材・部材 | 型番・仕様例 | 役割/接続ポイント | 1 台(式)あたり価格 (税別) | 参考ソース |
1 | ドライフォグ加湿セット | AKIMist “E” 4-N ポータブルセット(スタンド&18 Lタンク付) | 霧化ノズル×4・ポンプレス本体 | ¥323,814 | |
2 | オイルフリーコンプレッサ | 日立 スーパーオイルフリーベビコン 0.75 kW・最高0.8 MPa・吐出空気量 75 L min-¹(タンク30 L) | 0.3 MPa・230 L h-¹ の駆動空気を供給 | ¥189,800 | |
3 | エアドライヤ | 小型冷凍式エアドライヤ(処理 0.1 m³ min-¹、100 V) | 圧縮空気の除湿・露点安定 | ¥99,980 | |
4 | フィルタ+レギュレータ | 0.3 MPa対応 1/2B エアフィルタレギュレータ | 水分・ゴミ除去+0.3 MPa一定化 | ¥7,198 | |
5 | 配管一式 | SUS20A リング管 10 m+ユニオン・チーズ・ニップル | ノズル分岐穴(φ1 mm ×4-6 箇所)を任意位置に開孔 | ≈ ¥30,000 | 市価(ステンレス管 ¥2,200 m-¹+継手) |
6 | 耐圧エアホース | 内径 8 mm × 15 m (PA樹脂・ワンタッチ継手) | コンプレッサ → ドライヤ → 本体接続 | ≈ ¥4,000 | 一般通販相場 |
7 | 水道給水ユニット | 13A ステンレスYストレーナ+圧力調整弁(0.1 MPa設定) | ノズル水路に清水0.05–0.2 MPaを供給 | ≈ ¥5,000 | 一般通販相場 |
8 | 制御弁 | 電磁弁 AC100 V (R1/4)+コントローラ経由 | 散水/停止の自動化 | ≈ ¥8,000 | 一般通販相場 |
初期合計めやす(税別・送料別) ≈ ¥667,000
┗ 本体 32 万 + 周辺 34 万 → 加湿量 9.6 kg h-¹ を 1 セットで確保
なぜこれらが必要か
- 圧縮空気源 AKIMist は 0.2–0.4 MPa/200–250 L min-¹ の乾燥空気が必須。0.75 kW 級オイルフリー機で余裕をみています。
- 縫製工場跡には大きな容量のコンプレッサーがあるため4栽培施設、補えるか?確認。利用可能ならば上記 約19万円は不要。
- ドライヤ+フィルタ 乾燥度が低いとノズル詰まり・水滴霧化 → 結露の原因。冷凍式100 L min-¹ で十分。
- リング配管 ノズル 4 か所だけでは室内ムラが出るため、20A SUS 管に 4–6 mm の微穴を追加して「多点ドライフォグ」。
- 水路部材 ノズルはエゼクターで水を引く構造。水道直結なら 0.05–0.2 MPa を保つ減圧弁と簡易ストレーナで OK。
2 台以上設置する場合
目的 | 構成例 | メリット |
全室均霧 & 冗長化 | AKIMist E 4-N ×2 + コンプレッサ 1.5 kW (吐出 250 L min-¹) | 片側ユニットを停止してメンテ中も 4.8 kg h-¹ を維持可能 |
局所集中加湿 | AKIMist E 3-N ×2(各3ノズル) | ラックごとに独立制御/加湿バランス調整が容易 |
ポイントまとめ
AKIMist® E 本体・水道・100 V 電源にプラスして乾燥空気ラインが必須。上表の組合せで「9.6 kg h-¹・微粒子 7.5 µm」のドライフォグをリング管から多点噴霧できます。周辺機材を含めた初期コストは 約 67 万円 が目安です。
これ1台で栽培施設 1面の栽培に必要な湿度を確保出来ます。
キノコ栽培施設での採用事例
