「白キクラゲ」栽培方法を探る

「白キクラゲ菌」・「共生菌」入手方法、及び「菌床製造方法」

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白キクラゲ(Tremella fuciformis)菌床から「白キクラゲ菌」と「共生菌(主にAnnulohypoxylon archeriヒメカバイロタケ類など)」を分離・採取するには、無菌的操作と段階的培養が必要です。以下に、研究や商業培養で用いられる実践的な方法をまとめます。

🧫 1. 菌床からの白キクラゲ菌の採取方法

🔸【方法1】子実体からの採取(推奨)

手順内容
① 選別菌床上に形成された新鮮な白キクラゲの子実体を選ぶ(腐敗・異物なし)
② 表面殺菌表面を70%エタノールで数秒洗浄 → 無菌水で2回洗浄
③ 培地接種内部組織(ゼラチン状の部分)を切り取り、PDA培地MEA培地に接種
④ 培養25℃前後で2〜3日、白色または半透明の菌糸を確認
⑤ 純化クローニングし純粋培養を確立する(必要に応じ抗生物質添加)

🔸【方法2】菌床チップからの採取

手順内容
① 菌床切断使用済みまたは培養中の菌床の内部材(オガクズ部)を切り出し
② 表面除菌切断面をエタノールで軽く殺菌(内部まで加熱しない)
③ 培地接種オガクズ断片をPDAやMEA培地に配置
④ 培養菌糸が伸びてくるのを待ち、白キクラゲ特有の菌糸を選別・継代

🍄 2. 共生菌(宿主菌)の分離方法

白キクラゲは単独では木材培地で成長できず、**共生菌(主にAnnulohypoxylon archeriなどの木材腐朽菌)**が必要です。

【手順】

手順内容
① 菌床周囲の黒~灰色菌糸を選別宿主菌は外層に黒褐色や灰色の菌糸を形成することが多い
② 分離培養共生菌を別のPDA培地などに接種して継代する
③ 特徴で識別綿毛状で速く成長し、白キクラゲ菌と競合しやすい菌糸が目印
④ DNA同定(任意)ITS領域などでAnnulohypoxylon属などをPCR同定することも可能

📦 3. 実験環境の注意点

  • クリーンベンチ or アルコール消毒+火炎滅菌を徹底
  • 空中落下菌に注意して作業は短時間で
  • 白キクラゲ菌と共生菌を別々にピュアカルチャーとして確保する

🧪 推奨培地(参考)

培地名用途
PDA(ポテトデキストロース寒天)白キクラゲ菌の培養に適
MEA(マルトエキス寒天)共生菌も含む広域培養に向く
YMA(イーストマルト寒天)発育確認用として使用されることも

✅【1】白キクラゲの共生菌(宿主菌)の入手先情報・入手方法

🇨🇳 中国本土からの入手(福建省)

区分内容
主産地福建省・広東省(莆田市など)
供給形態・共生菌入り菌床(完成菌床)・共生菌付き種菌(駒菌)
検索用キーワード「银耳 菌种」、「银耳共生菌」、「Tremella fuciformis + Hypoxylon spp」
入手方法・阿里巴巴(1688.com)などで農業用菌種取扱業者に直接交渉・輸入実績のある日本国内の商社に依頼(例:菌床輸入代行、きのこ資材商社)
⚠ 注意:輸入には
植物防疫法に基づく検疫・輸入許可

🇹🇼 台湾からの入手

区分内容
主産地彰化、雲林など
株名台中1号株(Tai-Chung No.1)、台湾白雪耳
入手方法・台湾農業試験所または民間菌種バンク・日本国内業者が輸入・分離した菌を販売しているケースあり
参考リンク台灣農業試驗所、雲林科技大學 食品科學系など

🇯🇵 日本国内での入手方法(可能性あり)

区分内容
供給元候補・日本きのこセンター・種菌販売業者(JA・全国農協連系、ニッテンバイオなど)
方法白キクラゲの「共生菌分離株」の取扱があるか、直接問い合わせが必要
備考国内では共生菌単体の販売は稀。使用済み菌床から自力で分離培養するのが現実的なケースも多い

✅【2】共生菌を活かした菌床の自作レシピと工程

🍄 菌床構成(共生菌 + 白キクラゲ用)

材料割合(%)
オガクズ(広葉樹)60〜65%
フスマ(小麦ぬか)10〜15%
米ぬか5〜10%
コーン粉末5〜10%
グルコース or 黒糖1〜2%
炭酸カルシウム1〜2%
水分約60〜65%(握って水が出る程度)

🧪 菌床製造・共生菌共培養プロセス

  1. 培地混合・加水(上記材料を混合して適湿に)
  1. 高温殺菌(121℃・2時間)
  1. 冷却後に共生菌を先に接種(木材腐朽菌を十分活着させる)
  1. 5〜10日後に白キクラゲ菌を再接種
  1. 培養室で20~27℃・湿度70~80%で約20日培養
  1. 転換処理→子実体誘導→発生期移行へ

🔍 補足:共生菌がないとどうなるか?

白キクラゲは木材成分を単独で分解できない不完全菌のため、共生菌の生成した養分(リグニン分解産物など)を吸収して発育します。共生菌なしでは子実体がほとんど出現しません。

以下は、世界中の信頼性あるサイトや文献から収集した、「白キクラゲ菌床1本あたりの収穫期間とフラッシュ回数」に関する情報です。各データの出典を明記しています。

⏱️ 白キクラゲ菌床1本での収穫スケジュール

対象情報期間/フラッシュ数出典・備考
総栽培期間(菌床投入~初回収穫)約35~40日中国産業用報告
原基〜子実体成熟15~20日同上
原基形成期間約16日(グロブール出現後)Oei 1996 via
家庭・キット栽培12~20日で収穫可能楽天・家庭栽培ガイド
商業ハウス栽培菌床切込〜収穫まで2〜3週間栽培マニュアル
全体栽培期間(菌糸~収穫)約42日間Fujian大発表

✅ 統合まとめ(推奨平均値)

  • 感染から出荷までの全行程:35~42日(約1.2~1.4ヶ月)
  • 原基形成〜収穫まで:15~20日
  • 収穫可能なフラッシュ数少なくとも2回以上可能 (商業栽培では2〜3回報告あり)

🔍 結論

菌床1本での一般的な収穫スケジュールは:
  1. 菌床接種後 約35~40日 で初回収穫
  1. 以降、2回目・3回目も可能(各15~20日間隔)
したがって、1菌床で40~60日程度で2~3回の収穫が期待できます。
下記は、世界中の公開情報をもとに集めた、白キクラゲ(Tremella fuciformis)菌床1本あたりの収量の平均値です。

🌍 世界の明記情報からの収量データ

  • アメリカ・ペンシルバニア州 農業研究によるレポート:
    • “Yield for each bag of substrate is in the range of 350 to 500 g fresh weight (35 to 50 g dry weight)”
  • *中国発の特許情報集(国際出願CN103880537A)**では、1袋(500 g培地)の栽培で、菌床重量比や培地構成は示されていますが、収量そのものには言及がありません 。
  • その他の信頼可能な栽培報告(Reddit等)には明記された収穫量が見当たりませんでした 。

📊 推定まとめ(1菌床あたり)

項目収量範囲/値
生キクラゲ(fresh)約350–500 g
乾燥キクラゲ(dry)約35–50 g
平均収量(生)約425 g
平均乾燥収量約42.5 g

✅ まとめ

  • 生の収穫量平均:425g/菌床
  • 乾燥後平均:42.5g/菌床