コンサル事業 提示事例:
事例1:“ニラ”の水耕栽培

例:幅7.2m、長さ45mの水耕栽培棚でニラを何株栽培(収穫)可能か?
栽培に必要な株間や条間を考慮して、おおよその栽培可能な株数を計算します。
実際は使用発泡スチロール製栽培ベッドの穴数で計算
- 栽培棚の面積
- 幅:7.2m
- 長さ:45m
- 面積:7.2m × 45m = 324㎡
- ニラの一般的な栽培間隔
- 株間(株同士の間隔):10cm(0.1m)
- 条間(列の間隔):15cm(0.15m)
※水耕栽培では密植が可能なので、一般的な露地栽培よりも若干狭く設定することができます。
- 栽培可能な株数
- 1列に植えられる株数(7.2m幅に対して)
→ 7.2m ÷ 0.1m = 72株/列
- 列の数(45m長さに対して)
→ 45m ÷ 0.15m = 300列
したがって、72株 × 300列 = 21,600株
- 調整要素
- 栽培装置や通路のスペースを考慮する必要があるため、実際には 18,000株 ~ 20,000株程度が目安になります。
- 収穫時に株を間引くことを考慮すると、多少余裕を持たせたレイアウトを推奨。
結論:
水耕栽培用棚(7.2m × 45m)では、約18,000株 ~ 20,000株のニラを栽培可能。
ニラの水耕栽培において、収穫までに必要な水、肥料の量の試算。
- 必要な水の量
(1) 一般的な水耕栽培における水の使用量
水耕栽培では、1㎡あたり 5~10L/日 の水が必要とされます。
※蒸発や植物の吸収を考慮
- 栽培面積:324㎡
- 1日あたりの水消費量:
- 最小値:324㎡ × 5L = 1,620L/日
- 最大値:324㎡ × 10L = 3,240L/日
(2) 収穫までの期間
- ニラの収穫までの期間(初回収穫):約 60日
- 総水消費量:
- 最小値:1,620L × 60日 = 97,200L(97.2m³)
- 最大値:3,240L × 60日 = 194,400L(194.4m³)
結論:収穫までに約 97~195m³ の水が必要
- 必要な肥料の量
(1) ニラに必要な主要栄養素
ニラは 窒素(N)・リン(P)・カリウム(K) を多く必要とします。
- 目安となる肥料成分(10a = 1,000㎡ あたりの推奨量)
- 窒素(N):20~25kg
- リン酸(P):10~15kg
- カリウム(K):15~20kg
(2) 324㎡(約3.24a)に換算
- 窒素(N):約 6.5~8.1kg
- リン酸(P):約 3.2~4.9kg
- カリウム(K):約 4.8~6.5kg
(3) 水耕栽培用の肥料濃度
- EC値(電気伝導率):1.5~2.5mS/cm が適正範囲
- 液肥の濃度(標準的な養液調整)
- 窒素(N):150~200ppm
- リン(P):50~100ppm
- カリウム(K):150~200ppm
- 液肥量(必要水量に対して)
- 約 0.5~1.0% の養液を調合
- 必要水量 97~195m³ に対し、約 0.5~1.0m³(500~1,000L) の肥料溶液が必要
最終結論
項目 | 必要量(60日間) |
水 | 97~195m³ |
窒素(N) | 6.5~8.1kg |
リン酸(P) | 3.2~4.9kg |
カリウム(K) | 4.8~6.5kg |
養液量 | 500~1,000L |
補足
- 水の使用量は環境(温度・湿度)による変動あり
- EC値を適正に管理することで肥料の過不足を防ぐ
- 再循環型水耕栽培なら水の使用量をさらに減らせる
- 成長状況に応じて微量要素(カルシウム・マグネシウム・鉄など)も補充
💡 結論: ニラの水耕栽培
栽培規模;(7.2m × 45m、18,000~20,000株)では、
必要な水量:約 97~195m³
必要な肥料溶液:500~1,000L の(N: 6.5~8.1kg、P: 3.2~4.9kg、K: 4.8~6.5kg)
が必要です。
売上(仕入相当額) :ニラ 18,000株〜20,000株
日本におけるニラの市場卸価格は、時期や市場によって変動します。以下に、2025年1月の主要市場での平均卸価格を示します。
- 東京都中央卸売市場(大田市場):1キログラムあたり 1,291円
- 大阪市中央卸売市場(本場市場):高値が1キログラムあたり 970円、安値が 580円
これらの価格を基に、18,000~20,000株のニラの卸売価格を試算します。
- 株あたりの重量の推定
ニラ1株の重量は栽培方法や品種によりますが、一般的には 30~50グラム 程度とされています。ここでは平均値の 40グラム(0.04キログラム) と仮定します。
- 総重量の計算
- 18,000株:18,000株 × 0.04kg = 720キログラム
- 20,000株:20,000株 × 0.04kg = 800キログラム
- 卸売価格の試算
- 東京都中央卸売市場の価格で計算
- 720kg:720kg × 1,291円/kg = 929,520円
- 800kg:800kg × 1,291円/kg = 1,032,800円
- 大阪市中央卸売市場の高値で計算
- 720kg:720kg × 970円/kg = 698,400円
- 800kg:800kg × 970円/kg = 776,000円
- 大阪市中央卸売市場の安値で計算
- 720kg:720kg × 580円/kg = 417,600円
- 800kg:800kg × 580円/kg = 464,000円
注意点
- 上記の価格は 2025年1月 のものであり、季節や市場の需給状況により変動します。
- 実際の取引価格は、品質、出荷時期、取引先との契約条件などにより異なる場合があります。
まとめ:2025年1月の市場価格を基にすると、18,000~20,000株のニラの卸売価格は、約 417,600円 から 1,032,800円 の範囲となります。ただし、これらは概算であり、実際の価格はさまざまな要因によって変動することをご留意ください。
栽培経費の計算
水道代:97~195m³
水道料金は、地域や水道事業者によって異なります。以下に、一般的な水道料金の計算方法と、97m³および195m³の使用量に対する料金の概算を示します。
- 水道料金の一般的な計算方法
水道料金は通常、以下の2つの要素で構成されます:
- 基本料金:一定の使用量(例えば10m³)までの固定料金。
- 従量料金:使用量に応じて課金される料金。使用量の段階(階層)に応じて、料金単価が変わることがあります。
- 具体的な料金例
以下は、ある自治体の水道料金表を例にした概算です。実際の料金は各自治体の料金表をご確認ください。
基本料金(メーター口径20mmの場合):
- 10m³まで:1,500円
従量料金:
- 10m³を超え20m³まで:1m³あたり200円
- 20m³を超え30m³まで:1m³あたり250円
- 30m³を超え50m³まで:1m³あたり300円
- 50m³を超え100m³まで:1m³あたり350円
- 100m³を超える部分:1m³あたり400円
- 使用量97m³の場合の料金計算
- 基本料金:1,500円
- 従量料金:
- 10m³を超え20m³まで:10m³ × 200円 = 2,000円
- 20m³を超え30m³まで:10m³ × 250円 = 2,500円
- 30m³を超え50m³まで:20m³ × 300円 = 6,000円
- 50m³を超え97m³まで:47m³ × 350円 = 16,450円
合計:1,500円 + 2,000円 + 2,500円 + 6,000円 + 16,450円 = 28,450円
- 使用量195m³の場合の料金計算
- 基本料金:1,500円
- 従量料金:
- 10m³を超え20m³まで:10m³ × 200円 = 2,000円
- 20m³を超え30m³まで:10m³ × 250円 = 2,500円
- 30m³を超え50m³まで:20m³ × 300円 = 6,000円
- 50m³を超え100m³まで:50m³ × 350円 = 17,500円
- 100m³を超え195m³まで:95m³ × 400円 = 38,000円
合計:1,500円 + 2,000円 + 2,500円 + 6,000円 + 17,500円 + 38,000円 = 67,500円
注意点
- 上記の料金は仮の料金表に基づく概算です。実際の料金は各自治体の水道料金表により異なります。
- 下水道料金が別途かかる場合があります。下水道料金も使用量に応じて課金されることが一般的です。
- 消費税が別途かかる場合があります。
まとめ:水道使用量が97m³の場合、概算で約28,450円、195m³の場合、概算で約67,500円の水道料金が発生します。ただし、実際の料金は地域や水道事業者の料金体系によって異なりますので、正確な料金を知るためには、各自治体の水道局にお問い合わせください。
肥料代:97~195m³ 500~1,000L
肥料M式水耕研究所 M式1号、M式2号、MS1号 別途提示
電気代: 養液・気中環境調整に設置する機器により変動
1:循環ポンプ 循環ポンプ5.5kW (AC200V 3相) を24時間使用した場合の電気代
中部電力ミライズの高圧業務用電力FR プランBを利用し、**循環ポンプ F-1256-5.5kW (AC200V 3相)**を24時間稼働させた場合の電気料金を試算します。
- 電力量料金の計算
1日の消費電力量:5.5kW × 24時間 = 132kWh
電力量料金単価:
- 夏季(7月1日~9月30日):19.62円/kWh
- その他季(10月1日~翌年6月30日):18.63円/kWh
1日の電力量料金:
- 夏季:132kWh × 19.62円/kWh = 2,589.84円
- その他季:132kWh × 18.63円/kWh = 2,459.16円
- 基本料金の計算
基本料金単価:1kWあたり 1,914.26円/月
契約電力:5.5kW
月額基本料金:5.5kW × 1,914.26円/kW = 10,528.43円
1日あたりの基本料金:
10,528.43円 ÷ 30日 ≈ 350.95円
- 合計電気料金
1日あたりの合計電気料金:
- 夏季:2,589.84円(電力量料金) + 350.95円(基本料金) = 2,940.79円
- その他季:2,459.16円(電力量料金) + 350.95円(基本料金) = 2,810.11円
注意点:
- 上記試算には、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金は含まれていません。
- 実際の電気料金は、契約内容や使用状況により異なる場合があります。
- 詳細な料金については、中部電力ミライズの公式サイトをご確認ください。
参考:
ラーメン用ニラ(水耕栽培)の最適な環境設定(育苗期~定植期)
ニラ(Allium tuberosum) は、強い風味とシャキッとした食感が特徴で、ラーメン用には葉が太く、香りが豊かなものが求められます。
水耕栽培では、温度・養液のEC/pH・光環境を適切に管理することで、品質の安定化が可能です。
- ニラの水耕栽培(育苗期~定植期)の最適環境
管理項目 | 育苗期(播種~2週間) | 定植期(2週間~収穫) | 理由・調整ポイント |
EC(mS/cm) | 0.8〜1.2 | 1.2〜1.8 | 初期は低ECで根の発育を促進し、定植後は葉の成長を促すために濃度を上げる。 |
pH | 5.8〜6.2 | 5.8〜6.5 | ニラは中性~やや酸性の環境を好む。pHが高すぎると微量元素の吸収が阻害される。 |
水温(℃) | 18〜22℃ | 18〜25℃ | 水温が高すぎると軟弱徒長しやすく、低すぎると生育が遅れる。 |
気温(℃) | 20〜25℃(昼)/15〜18℃(夜) | 22〜28℃(昼)/16〜20℃(夜) | 日中は高め、夜間はやや低めに管理し、健康な葉を育てる。 |
湿度(%) | 50〜70% | 50〜75% | 過乾燥は葉が硬くなる原因、過湿は病害リスクが高まる。 |
CO₂濃度(ppm) | 400〜800 | 600〜1200 | CO₂施用により光合成効率を高め、成長を促進できる。 |
光照射時間(h/日) | 14〜16時間 | 14〜18時間 | 長日条件で葉の生育を促進し、葉色・風味を向上させる。 |
光量(PPFD: μmol/m²/s) | 200〜300 | 300〜500 | LEDやHIDランプを使用し、葉の成長を促す。 |
養液循環 | 30分ごとに5分ON | 15分ごとに5分ON | 根への酸素供給を維持し、養液の均一性を確保する。 |
- 栽培ステージごとの管理ポイント
① 育苗期(播種~2週間)
- EC 0.8〜1.2 mS/cm に抑え、根の成長を優先。
- 光照射14〜16時間、PPFD 200〜300 μmol/m²/s で発芽を促す。
- pH 5.8〜6.2 に維持し、養分の吸収を良好に保つ。
- 水温 18〜22℃、湿度 50〜70% で、徒長を防ぐ。
育苗期の注意点
✅ 過剰な光量は避け、発芽を安定させる
✅ ECが高すぎると根の発達が遅れるため、薄めの養液を使用
✅ 苗が徒長しないように、風を送る・温度を適切に管理
② 定植期(2週間~収穫まで)
- EC 1.2〜1.8 mS/cm で養分供給を強化。
- 光照射14〜18時間、PPFD 300〜500 μmol/m²/s で葉の分厚い成長を促進。
- pH 5.8〜6.5 に調整し、微量元素の吸収を最適化。
- 水温 18〜25℃、湿度 50〜75% を維持し、病害を予防。
定植期の注意点
✅ ECを適切に維持し、窒素不足や過剰を防ぐ(不足すると黄化、過剰だと軟弱化)
✅ 光照射時間を長めにし、長日条件を維持
✅ 養液循環を強化し、酸素供給を確保する
- ラーメン用ニラに適した品種と特徴
ラーメン用のニラは、葉が肉厚で香りが強い品種が適しています。
- 豊葉系(葉幅が広く、風味が強い)
- 夏扇シリーズ(耐暑性があり、周年栽培向け)
- ジャンボニラ(葉が長く、ボリューム感がある)
- 病害虫リスクと予防策
主要な病気
病害名 | 症状 | 予防策 |
さび病 | 葉にオレンジ色の斑点 | 湿度管理(50〜70%)、適切な風通し |
灰色かび病 | 葉が灰色に変色し腐敗 | 過湿防止(養液の排水管理)、葉の過密を防ぐ |
主要な害虫
害虫名 | 症状 | 対策 |
ネギアザミウマ | 葉の黄変、シルバー化 | 防虫ネットの使用、天敵導入 |
アブラムシ | 新芽に群がり吸汁 | 黄板トラップ、天敵(テントウムシ)利用 |
- 養液の適正管理
適した肥料成分のバランス
要素 | 育苗期(ppm) | 定植期(ppm) | 役割 |
窒素(N) | 80〜120 | 120〜180 | 葉の成長促進 |
リン(P) | 20〜40 | 40〜60 | 根の発達促進 |
カリウム(K) | 80〜120 | 120〜180 | 耐病性・食味向上 |
カルシウム(Ca) | 50〜80 | 80〜100 | 葉の硬さ維持 |
マグネシウム(Mg) | 20〜40 | 40〜60 | 光合成促進 |
まとめ:ニラ水耕栽培の最適環境
項目 | 育苗期 | 定植期 |
EC (mS/cm) | 0.8〜1.2 | 1.2〜1.8 |
pH | 5.8〜6.2 | 5.8〜6.5 |
水温 (℃) | 18〜22 | 18〜25 |
気温 (℃) | 20〜25 | 22〜28 |
湿度 (%) | 50〜70 | 50〜75 |
CO₂濃度 (ppm) | 400〜800 | 600〜1200 |
光量 (PPFD μmol/m²/s) | 200〜300 | 300〜500 |
光照射時間 (h/日) | 14〜16 | 14〜18 |
これらの環境を適切に調整することで、香りが強く、厚みのあるラーメン向けニラを効率的に栽培できます!