
ハウスでのイチゴ栽培について
ハウス内で一年中イチゴを収穫するにはイチゴに花を咲かせるなどの環境調整が必要です。しかし開花した花弁が受粉しなければ我々はイチゴを味わう事が出来ません。イチゴの受粉をしてくれる昆虫は主にミツバチですが自然界ではミツバチの活動時期は限りられます。イチゴを開花させてもミツバチなどが受粉活動をしてくれ無いと我々はイチゴを味わう事が事が出来ません。
我々人間が筆などで受粉させても歪な形のイチゴとなり美味しいイチゴを収穫する事が難しいのが現実です。ハウス内でミツバチが元気に生息出来る環境に調整する必要があります。
ミツバチによるイチゴの受粉活動
イチゴの花弁受粉は自然界ではミツバチが行ってくれます。
しかしミツバチをハウス内で飼育すると温湿度等の環境調整だけでは死滅してしまいます。
365日イチゴなどを栽培するためにはハウス内の温湿度や光の波長等の環境調整が必要です。
ハウス内でミツバチに効果的な受粉活動を行ってもらうためには、以下の環境条件を整えることが重要です。

- 適切なミツバチの群数と配置
- 群数の調整: ハウスの面積や花の量に応じて、適切なミツバチの群数を配置します。例えば、イチゴ栽培では10アールあたり1群(約6,000~8,000匹)が目安とされています。 (日本養蜂協会)
- 巣箱の配置: 温度差が大きい場所や湿度の高い場所を避け、環境変化の少ない場所に巣箱を設置します。長時間日光が当たる場所も避け、ミツバチが巣箱の位置を認識しやすいように工夫します。
- 温度と湿度の管理
- 温度管理: ハウス内の温度が30℃以上になると、巣箱内の温度が高くなりすぎ、ミツバチの活動に支障をきたします。訪花活動は気温20~25℃で盛んになるため、この範囲内に温度を保つことが望ましいです。 (日本養蜂協会)
- 湿度管理: することで、ミツバチの活動を促進します。過度な湿度は避け、適度な換気を行います。
適切な湿度を維持
- 光環境の調整
- 紫外線の確保: ミツバチは紫外線を利用して飛行します。ハウスの被覆材に紫外線カットフィルムを使用すると、ミツバチの飛行に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。 (日本養蜂協会)
- 農薬の使用
- 農薬の選択と散布方法: (日本養蜂協会)
ミツバチに対する毒性が低い農薬を選び、散布時は必ず散布前日の日没後にハウスの外に巣箱を移動させます。殺菌剤であっても同様の配慮が必要です。

太陽に近いミツバチが好む光を人工的に産み出す方法。
光のスペクトルを調整する方法は、主に以下のような技術を用いて行われます。これにより、特定の波長の光を強調したり、抑制したりすることで、植物の成長やミツバチの受粉活動を最適化することが可能です。
- LED照明の利用
- 特定波長の選択:LEDライトは狭い範囲の波長を持つ光を発生させるため、赤色や青色、紫外線など特定の波長の光をターゲットにした調整が可能です。植物成長に適した波長を含む「成長用LED」や「育成用LED」などがよく使われます。
- 調光機能付きLED:一部のLEDシステムには、異なる波長の光を混合し、目的に合わせてスペクトルを調整する機能が備わっています。これにより、植物やミツバチに適した光環境を作り出せます。
- フィルターや被覆材の使用
- 紫外線透過フィルター:
特定の波長(紫外線など)を透過させるフィルターを使用することで、ミツバチが飛行しやすい環境を整えられます。
- 光変換フィルム:
太陽光の一部を吸収し、特定の波長に変換するフィルムがあります。これを温室やハウスの被覆材として使用することで、特定の波長が強調された光を植物やミツバチに届けられます。
- 光スペクトル調整器
- 可変光スペクトルランプ:これらはスマート農業用に開発されたもので、調整可能なLEDや特定波長の光源を組み合わせており、スマートフォンやコンピュータから波長や強度を制御できます。これにより、成長段階や日内の変化に応じた光環境を提供できます。
- 分光計付き調整システム:分光計で現在の光のスペクトルを測定し、AIやプログラムによって光源のスペクトルを自動的に調整するシステムもあります。
- 光強度や時間の調整
- デイライトシステム:日中に自然光と人工光を組み合わせ、光強度と時間を制御して、1日の中での光スペクトル変化をシミュレーションします。ミツバチや植物にとって自然な昼夜サイクルを再現することが可能です。
- タイマー制御:時間ごとに光の強度やスペクトルを調整するためにタイマーを設定し、植物やミツバチの生理的リズムに合った光環境を提供します。
実用的なポイント
光スペクトルの調整は、栽培している植物の種や成長段階に応じて行います。また、ミツバチには紫外線が見えやすいため、飛行を助けるためには紫外線成分を含めたスペクトルが推奨されます
ミツバチの誘引と巣箱への定住

ミツバチを巣箱に誘引させる物質
ミツバチを巣箱に誘引するためには、フェロモンなどの特定の物質や香りが効果的です。以下に、ミツバチを巣箱に引き寄せるために使用される主要な物質を紹介します。
- ミツバチの集合フェロモン(クイーン・フェロモン)
- 女王フェロモン:女王バチが分泌するフェロモンは、働きバチを集める役割を果たし、巣箱に引き寄せるのに効果的です。特に「9-ODA(9-オキシデセン酸)」という化合物が含まれ、強力な誘引効果を発揮します。
- 女王フェロモン製品:市販されている女王フェロモンの代用品(人工フェロモン)を巣箱に設置すると、ミツバチが巣箱に引き寄せられやすくなります。
- レモングラスオイル
- レモングラスオイルは、ミツバチの集合フェロモンに似た成分を含んでおり、ミツバチを引き寄せる効果があります。少量を巣箱に塗布したり、巣箱の入口に設置することで、ミツバチが巣箱に引き寄せられる可能性が高まります。
- 特に分蜂期のミツバチには効果があり、新しい巣を探しているミツバチの群れがレモングラスオイルの香りに惹きつけられやすいです。
- 蜜蝋(みつろう)
- 蜜蝋はミツバチが巣を作るために必要な物質であり、蜜蝋の匂いがある場所にミツバチが集まりやすいです。巣箱の内部に少量の蜜蝋を塗布することで、巣箱が「居住に適している」と認識され、ミツバチが誘引されやすくなります。
- プロポリス
- プロポリスはミツバチが巣内の保護と消毒のために使う樹脂状の物質で、独特の香りを持っています。巣箱にプロポリスを設置すると、ミツバチが安心して集まる可能性が高くなります。
- 花の香り(フローラルオイル)
- 一部の花の香りも、ミツバチの誘引に効果があります。ただし、花の香りはフェロモンに比べると効果が弱いため、他の方法と併用すると良いでしょう。
これらの物質を巣箱に設置し、ミツバチに「安全で快適な巣箱」と認識させることで、効果的にミツバチを誘引できます。ただし、誘引効果が強すぎるとミツバチが攻撃的になることもあるため、適量を使用するように注意してください。
- キンリョウヘン(ラン科の植物)
キンリョウヘン(Cymbidium floribundum)は、ラン科の植物で、ミツバチの誘引に非常に効果的な植物として知られています。特に日本での養蜂業者の間では、ミツバチを分蜂時に巣箱に誘導するための「おとり」として広く使われています。
キンリョウヘンの特徴とミツバチ誘引効果
- フェロモン類似物質の分泌:キンリョウヘンは、ミツバチの女王バチが分泌するフェロモンに類似した化学物質(特に「フェロモン類似化合物」)を花から放出します。このフェロモンに似た香りは、働きバチや雄バチを強力に引き寄せる効果があり、分蜂時期のミツバチが集まりやすくなります。
- 分蜂時期との相性:キンリョウヘンの花が咲く時期は、ちょうどミツバチが分蜂する時期と重なることが多く、ミツバチを誘引するには最適な植物です。花の香りが分蜂中のミツバチにとって魅力的であり、新しい巣を探しているミツバチが自然に引き寄せられます。
- 持続的な効果:キンリョウヘンは、花が咲いている間に持続的に誘引効果を発揮します。フェロモン類似化合物を出し続けることで、巣箱にミツバチを安定して誘引することが可能です。
使用方法
1.巣箱の近くに設置:キンリョウヘンの鉢植えを巣箱の近くに置くことで、ミツバチを効果的に引き寄せることができます。花が咲いているときに最も誘引効果が高まるため、分蜂期の前に鉢を設置しておくと効果的です。
2.巣箱内の配置:一部の養蜂家は、直接巣箱内にキンリョウヘンを置くことで、より確実にミツバチを誘導し、巣箱に定着させることもあります。
3.フェロモン代替:キンリョウヘンのフェロモン成分を抽出したスプレーも市販されており、キンリョウヘンが手に入らない場合には、このスプレーを巣箱に散布することで同様の効果が得られる場合もあります。
注意点
キンリョウヘンを使ってミツバチを誘引する場合、花が咲く時期が限られているため、開花時期を分蜂期に合わせる工夫が必要です。また、蜂の種類によっては誘引効果が異なる場合があるため、養蜂を行っている地域のミツバチの習性に応じて適切な使用方法を検討することが大切です。
キンリョウヘンは、自然なフェロモン誘引源として、人工フェロモンとは異なる安定した誘引効果を持っているため、ミツバチの分蜂捕獲や誘引に非常に有効です。
その他
イチゴの重要なクラウンの働きを知る

イチゴのクラウン(crown) は、全体の成長において非常に重要な役割を担う構造部分です。クラウンは、地表近くに位置する短縮茎であり、根、葉、ランナー、花序(花茎)がここから発生します。
クラウンの構造と役割
- 栄養貯蔵と供給の中心
- クラウンは、イチゴの成長と開花・結実に必要な栄養素を貯蔵する役割を果たします。
- 根から吸収された水分や無機栄養素、葉で光合成によって生成された糖分(炭水化物)がクラウンに蓄えられ、必要に応じて植物全体に供給されます。
- 特に冬期や環境ストレスがある状況では、クラウンの栄養貯蔵がイチゴの生存と成長に重要です。
- 成長点(メリステム)を保持
- クラウン内部には複数の成長点(頂芽や腋芽)が存在します。これらの成長点から、新しい葉、ランナー、花序(花茎)が生成されます。
- 成長点の活動は、環境条件(温度、日照、栄養)や植物ホルモンの影響を受け、適応的に調整されます。
- ランナーの発生源
- クラウンからランナー(走出枝)が発生します。ランナーはイチゴの繁殖において重要で、子株を形成して新しい株を増やす役割を果たします。
- ランナーの発生は、栄養状態や環境条件によって調整されます。
- 花序(花茎)の発生源
- クラウンは花序(花茎)が発生する部分でもあります。花序はイチゴの果実生産の基盤であり、クラウンの状態が直接的に花序の発生や果実の品質に影響を与えます。
- 新葉の発生源
- クラウンは葉の発生源でもあり、新しい葉を生成して光合成を行い、植物全体のエネルギーを生産します。
- 葉が健康であることは、クラウンの健康を保つためにも重要です。
クラウンの健康管理
適切なクラウンサイズ
- 適度なクラウンの太さ:
- 健康なクラウンは太く、しっかりした構造を持っています。
- 細いクラウンは栄養不足や弱い株を示す可能性があるため、栽培中に注意が必要です。
温度と日照管理
- 適正温度:
- 過剰な高温や低温はクラウンの成長を阻害する可能性があります。
- 最適な成長温度は約20~25℃です。
- 日照時間:
- 日照時間はクラウンの成長点の活性化に影響を与え、花芽形成やランナーの発生に関与します。
栄養管理
- 窒素:
- 適切な窒素供給はクラウンの成長を促進します。ただし、過剰な窒素はランナーの過剰発生を引き起こし、果実生産を抑制することがあります。
- カリウムとリン:
- 花序の発生や果実形成に重要です。特にカリウムはクラウンの健康を維持するために不可欠です。
適切な灌水
- クラウンが過湿状態になると、根腐れや病害(炭疽病など)が発生しやすくなるため、排水性の良い環境を整えます。
- 適切な灌水により、クラウンに十分な栄養供給が行われます。
病害虫管理
- クラウンの病害:
- クラウン腐敗病(クラウンロット)は、過湿や病原菌(Phytophthora属など)が原因で発生します。
- 防除のために、適切な排水性と通気性の確保、消毒された土壌の使用が推奨されます。
クラウンの重要性
クラウンはイチゴの成長、繁殖、果実生産の中心であり、その健康状態が全体の収量と品質を決定づけます。適切な管理を行い、クラウンの成長を促進することで、高品質なイチゴの栽培が可能になります。
イチゴの水耕栽培での環境調整

栽培するイチゴの品種により播種、育苗期から収穫期までの最適な養液調整
イチゴの水耕栽培における播種から収穫までの適正なEC(電気伝導度)、pH、水温と、それに関する注意事項は以下のとおりです。
- EC(電気伝導度) 液体肥料濃度
- 播種・育苗期: 5~0.8 mS/cm
- 成長期: 0~1.2 mS/cm
- 開花・結実期: 2~1.8 mS/cm
- 収穫期: 2~1.8 mS/cm
ECはイチゴの成長段階に応じて調整が必要です。苗の定着直後や成長初期には低めのECで育成し、開花期から結実期には栄養を十分に与えるために、ECを徐々に上げていきます。
注意事項
- 高すぎるECは根の障害を引き起こしやすいため、定期的にECを測定し、適正範囲内に保つようにします。
- 水耕システムの水の蒸発が進むとECが上昇するため、定期的に清水で希釈するか、必要に応じて栄養液を調整してください。
- pH
- 播種・育苗期: 5~6.0
- 成長期から収穫期: 8~6.2
pHは、成長全期間を通じて5.8~6.2の範囲を保つのが理想的です。これにより、イチゴに必要な栄養素が吸収しやすくなります。
注意事項
- pHが低すぎると酸性障害が生じやすく、高すぎるとアルカリ障害を引き起こすため、定期的にpHを測定し、pH調整剤(酸やアルカリ剤)を使って調整します。
- 水耕システムの中では、時間とともにpHが変動することが多いため、週1~2回は測定を行い、適宜調整を行ってください。
- 水温
- 育苗期: 18~22℃
- 成長期~収穫期: 18~24℃(最適は20℃前後)
水温は、植物の根の健康に大きく影響を与えます。適正な水温により根の成長が促進され、栄養の吸収も円滑に行われます。特に水温が低すぎると成長が遅れ、高すぎると酸欠などの問題が発生しやすくなります。
注意事項
- 夏場は水温が上がりやすいため、冷却装置や断熱材などを使用して温度上昇を抑えます。
- 冬場は水温が低下しやすいため、ヒーターを使用して温度を調整します。
- 1日の水温の変動を最小限に抑え、一定の温度を保つよう心がけてください。
その他の注意事項
- 酸素供給:水中の酸素濃度が不足すると、根が酸欠になり根腐れが発生しやすいため、エアレーションや水流を利用して酸素を十分に供給します。
- 栄養バランス:窒素、リン、カリウムを中心に、カルシウムやマグネシウムなどの微量要素もバランスよく含む専用の栄養液を使用することが重要です。
- 病害管理:湿度が高くなりがちな環境では病気が発生しやすくなるため、適切な換気を行い、湿度を管理します。また、病害が発生した場合には、早期に取り除く対策をとります。
イチゴの水耕栽培は、これらの環境条件を常に管理し、適切に調整することで、安定して高品質な収穫を得ることができます。
まとめ
ハウス内でミツバチを利用した受粉環境の構築
- 適切な温度(20~25℃)と湿度の管理。
- ミツバチが飛行しやすい紫外線を含む光環境の確保。
- ミツバチに害を及ぼさない農薬の選定と適切な散布方法。
- ミツバチ誘引のための「レモングラスオイル」や「キンリョウヘン」の利用。
光環境の調整
- LED照明: 特定波長(赤、青、紫外線)を強調。
- 光スペクトル調整器やフィルターを活用し、植物とミツバチ双方に適した光環境を提供。
水耕栽培における最適条件
- EC(電気伝導度): 成長段階に応じて5~1.8 mS/cm。
- pH: 5.5~2を維持。
- 水温: 18~24℃(最適は20℃)。
- 酸素供給: エアレーションによる酸欠防止。
クラウン(crown)の重要性
- イチゴの成長と繁殖の中心であり、栄養貯蔵や新芽、ランナー、花茎の発生源。
- 健康なクラウンを維持するために、適切な栄養、灌水、温度管理が重要。
受粉ドローン開発 案
地球温暖化でミツバチが自然界から居なくなると我々はイチゴだけでなくトマト、キュウリ、茄子等の果実を収穫出来なくなるだけでなく地球上の生命維持は危機的な状況になります。
これを回避するためには下記のようなシステムを早期に開発する必要があると考えます。
概要
イチゴなどの屋内栽培で最大の手間は受粉作業です。
人が筆で受粉させる必要があり大変な手間が掛ります。
筆などで人が受粉させるとミツバチのような綺麗な形のイチゴにならず歪な形の実になる確率が高いです。
水耕で種から発芽させ365日、イチゴ収穫技術は確立されています。
受粉システム ① AIにイチゴの花の画像を多数登録し、受粉に最適な開花状態を学習させます。 ② ドローンは搭載のカメラで受粉に適した花を飛行し探索します。 ③ ドローンは方向制御、ホバーリングし目的の花に“受粉アタッチメント” を向けて雄蕊と雌蕊に細かな振動を与え受粉させます。 ④ 繰り返し飛行しミツバチの受粉活動のように数回受粉させます。
ドローンの飛行による送風 栽培に必要な風も上から送風、CO2濃度調整、拡散、温湿度計測などもできます。
電源供給の問題 小さなドローンが必要なため電池も小さく長時間の飛行は出来ません。 飛行させる場所は栽培棚領域のため柔らかな細いケーブルでドローンに常時 給電します。
得たい結果 全自動で365日イチゴが収穫できる栽培施設の提供です。


ミツバチの受粉活動を知る

ミツバチは花の受粉において重要な役割を果たしています。そのプロセスは以下のように進みます:
1. 花への訪問
ミツバチは花から得られる蜜(花蜜)や花粉を求めて飛び回ります。これらは彼らの栄養源として利用され、特に蜜はエネルギー供給源、花粉はタンパク質の主要供給源となります。
2. 花粉の付着
• ミツバチが花に止まると、花の雄しべから花粉がミツバチの体(特に足や腹部、体毛)に付着します。
• 花粉が付着しやすいように、ミツバチの体は微細な毛で覆われています。この毛が静電気を帯びており、花粉を効率的に引き寄せる役割を果たします。
3. 受粉のプロセス
• ミツバチが花から花へ移動する際、別の花の雌しべに花粉が付着します。
• この花粉が雌しべに移動することで、受粉(雄しべからの花粉が雌しべの柱頭に付着する現象)が行われます。
4. 受粉の意義
• 受粉が成功すると、花は種子や果実を形成する準備を始めます。これが植物の繁殖の基本メカニズムです。
• ミツバチの活動範囲が広いため、同じ植物種の花だけでなく、異なる植物間の受粉(交雑受粉)を促進することもあります。
ミツバチの特別な行動
1. 蜜の吸収
• ミツバチは蜜を花の奥にある蜜腺から吸い取ります。この際に、体が雄しべや雌しべに接触し、花粉が移動します。
2. 花粉の収集
• ミツバチは足にある「花粉籠」と呼ばれる部分に花粉を集めて巣に持ち帰ります。この過程でも花粉が他の花に移動します。
3. 花の種類ごとの適応
• 花の構造に応じてミツバチの行動は変わります。例えば、イチゴのような開放型の花では花弁や雄しべ、雌しべに容易にアクセスできますが、トマトのような閉じた構造の花ではバイブレーション(振動)を使って花粉を落とす「バズポーリング」という特殊な行動を行います。
イチゴの受粉における役割
• イチゴの花では、雌しべの数が多く、すべての雌しべに花粉が届くことで形が良い果実が形成されます。
• ミツバチが花を訪れる際、雄しべから雌しべへの花粉の移動が行われるため、果実の均一な受粉が促進され、見た目や品質の良いイチゴができます。
ミツバチによる受粉のメリット
1. 受粉効率の向上:
• ミツバチは短時間で多くの花を訪れるため、受粉率が高まります。
2. 作物の品質向上:
• 均等に受粉されることで、果実が均一な形状や大きさになります。
3. 持続的な環境貢献:
• ミツバチの受粉活動は生態系全体の維持にも寄与します。
結論
ミツバチは、花粉を体に付着させ、別の花に移動させることで、植物の受粉を自然に行います。その活動はイチゴを含む多くの農作物の生産性や品質を向上させる重要な役割を果たしています。ミツバチの行動を模倣することで、ドローン受粉などの人工的な受粉技術の開発も進められています。